中小企業は採用強化のために魅力ある福利厚生を
求人募集を出しても応募がこない
採用内定を出しても辞退されてしまう
近年、中小企業では人手不足と言われている中で、上記のような問題を掲げている企業は少なくありません。今回の記事では、中小企業が人材を募集する際、採用強化をどのようにしていくべきなのかを解説させていただきます。
中小企業の人材採用の現実

人手不足が企業に与えてしまう影響は、事業の維持や拡大に繋がります。独立行政法人 労働政策研究・研修機構による「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(企業調査票)」(2019年)の個票を厚生労働省政策統括官付政策統括室が独自集計したものによると、人手不足が会社経営において悪影響を及ぼしていると回答した企業は、全体の72.4%という大きな数字となりました。そのうちの32%は、「現在のところ影響はないが、今後3年以内に影響が生じることが懸念される」と回答しています。 では、実際にどのような影響を与えているのでしょうか。
人手不足が与える企業への影響

人手不足が与える企業への影響で挙げられているのは
- 既存事業のやむを得ない縮小
- 既存事業の運営への支障
- 既存事業における新規需要増加への対応不可
- 技術やノウハウの伝承の困難化
- 新規事業への着手や既存事業の拡大の困難化
このようなもので、企業経営の拡大はおろか最悪の場合維持すらも困難になっている事を汲み取れます。
また、それだけではなく既存従業員に対しての悪影響として
- 残業時間の増加
- 休暇取得数の減少
- 従業員の働きがいや意欲の低下
- 離職者の増加
- 能力開発機会の減少
- 将来不安の高まりやキャリア展望の不透明化
- 職場の雰囲気の悪化
- メンタルヘルスの悪化などによる休職
- 従業員間の人間関係の悪化
- 労働災害、事故発生の頻度の増加
このような問題が挙げられています。
企業よりも従業員の方が、人手不足が多岐にわたって労働環境に悪影響を及ぼしていると感じているのです。こうした状況は採用強化はおろか既存の従業員の離職の原因に繋がってしまいますし、企業における人手不足の解消は急務なのです。
なぜ中小企業は人材の確保ができないのか

ただし人手不足の解消が急務といえども、中小企業においては難題ともいえます。
株式会社野村総合研究所による中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月)において、「人材を確保できていない」と回答した中小企業の割合は36.3%、「十分ではないが確保できている」企業は37.1%という結果となりました。また、「十分に確保できている」と回答したのは全体の6.7%、1割にも満たないのです。
人材を確保できていない大きな理由としては以下のようなものです。
- 企業の知名度が少ないため応募がない
- 内定を出しても辞退されてしまう
- 求める質の人材がいない
また、人手不足が与える企業への影響で紹介したように、せっかく就業しても労働環境の悪化により、人材育成できないまま離職に繋がってしまう事も問題です。
中小企業が採用強化するためには

それでは、人材の採用強化のためには具体的に何をすればいいのでしょうか?株式会社野村総合研究所による中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月)を再度見ていきます。 この調査によると、「人材が確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」では、「人材確保のためのノウハウ・手段」「労働時間、職場環境、休暇制度等の労働条件」「賃金(基本給、ボーナス)」この3つで高い差が出ていることがわかりました。
人材確保のための3つの改善点

中小企業においては、慢性的な人手不足により採用担当者に人や時間を割けない、採用強化のためのノウハウを身に付ける事ができない、このような問題点があります。また、中小企業における採用担当者は主に経営者、他業務と兼任で人事採用を担当する場合が多い傾向にあります。組織として採用のためのノウハウを身に付けていくこと、片手間ではなく一定期間だけでもしっかり採用業務にあたることのできる時間を設ける、これらが採用強化のための大きな課題になるのではないでしょうか。
次に労働条件です。
ただ、出産や育児により退職した女性の復職先として全体の53%が従業者数99人以下の企業であることが総務省による「平成24年就業構造基本調査」でわかりました。新卒女性の場合では35.8%が就業先になりました。なぜ、このような結果となったのか、企業側はどのような取組を行っていたのかを見ていきます。
組織的に制度として設けてはいないものの、育児休業・休暇制度、時短勤務、残業や休日労働の減免措置、子どもの送迎等のための早退や遅刻の許可、というような事を従業員それぞれに応じて柔軟な対応をとっていた事がわかりました。(株式会社野村総合研究所による中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月))
これは従業員数が少なく従業員の顔が見える中小企業だからこそできる強みともいえます。簡単にできる事ではないかもしれませんが、採用強化のためにもこのような状況に応じた柔軟な労働環境を女性だけではなく男性従業員に対しても提供できるのではないでしょうか。しかし、こうした場合には一方で他従業員に対する負担も増えてしまうケースも考えられるため、不平等がないように取り計らわなければなりません。
最後に、給与やボーナスなどの賃金についてです。
中小企業は大企業に比べると平均月給やボーナス等で低い傾向です。また、昇給も「経営者の判断」など不明確な場合が多い傾向にあります。昇給に対応できる余剰資金がある場合には、従業員数が少ないぶん中小企業の方が実績次第で昇給できるシステムを構築する事が可能なのではないでしょうか。余剰資金がない場合には、他社にはないその企業ならではの魅力的な部分、プラスアルファとなるものをしっかり求人情報でうたわなければなりません。 では、その企業ならではの魅力的な部分の具体例がどのようなものなのかを見ていきましょう。
福利厚生でプラスアルファの魅力を

上記で挙げたような3つの改善点以外にも、各企業の特色、魅力を求職者にアピールするために福利厚生を取り入れているケースは多いです。
この場合の福利厚生は法定外福利といって、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・介護保険・労災保険の法律で義務付けられている以外の法定福利以外のものです。もっと具体的にいえば、家賃補助や交通費の支給や健康診断の実施、社員旅行など、企業独自で設ける事が可能な福利厚生です。法定外福利の目的は、従業員満足度を向上させる=生産性の向上、人材の定着です。
人気の福利厚生といえば住宅手当、食事補助が挙げられますが、昨今のトレンドとして注目されているのが「ワークライフバランス=仕事と生活の調和」に関するものです。がむしゃらに仕事だけすればいいという昔ながらの概念が徐々に薄くなっていく一方で、現在はライフステージに合わせた働き方ができる、仕事をするために健康を維持・増進できる、こうしたものが従業員から支持を得ているのです。
例えば、子育て世代なら育休含めて休暇が取りやすいか、時短勤務ができるかどうか、介護世代なら離職しないで済むような介護休暇が取れるかどうか。少子高齢化が増々加速していく今後は、育児や介護のために離職しなければいけないような企業は従業員から求められなくなるでしょう。
また、高齢化が進むという事は従業員の平均年齢が高くなりますし、少子化の影響で若い世代の労働力を期待できなくなる可能性が高いです。だからこそ多くの企業が重要視しだしているのが、今いる従業員が将来的にも心身共に健康で働ける事なのです。
従業員の今だけでなく未来の健康も守るため、例えるなら投資として、健康診断の実施、人間ドッグの費用負担、栄養バランスの取れた食事を提供できる福利厚生を取り入れている企業も増えてきています。
例えば、最近では栄養バランスの取れた食事が提供できる100円社食のESキッチンといったサービスも関心を集めています。こちらは食事補助の福利厚生なのですが、福利厚生で社食を完備したいという場合、場所の確保や莫大なコストがかかってしまう点で導入ハードルが高いですが、この100円社食を導入するメリットはその取り入れやすさです。
1品100円の栄養バランスの整った惣菜を電子レンジで温めるだけですので、企業側が用意するのは電子レンジと惣菜を入れるための冷蔵庫を置くスペースのみ、エッサンスキッチン側が専用の冷蔵庫を用意してくれます。ロット数も利用人数の目安が5名までの場合は月50個から、最大で200名の場合は月1,000個と利用人数に合わせて導入できるのが様々な企業に選ばれている理由のひとつでしょう。また、価格も50個プランの場合の基本料金は月額24,800円というように、導入しやすいコストです。最近では新型コロナウィルスによる影響から、ランチで外食を避ける従業員も多いためランチが社内で完結できるという事もメリットになっています。
このような食事補助は人気の福利厚生にもなっていますし、採用強化のため何か魅力的なものを導入したいと考えている企業は検討してみてはいかがでしょうか。
企業の存続、経営向上のために重要なのは従業員の存在です。中小企業は特に人手不足が顕著ではありますが、従業員数が多くないからこそ個人に目が行き届く環境、また、それをスピーディーに実現できるのが中小企業ならでは強みであり魅力である事から、それを強く発信していくことが重要なのではないかと感じます。今後の社会において、従業員に合わせた柔軟な働き方ができる企業は、より求められるのではないでしょうか。採用強化のためにも充実した福利厚生の導入をはじめ、自社の従業員が何を求めているのかを正確に把握し、長く働きたいと思える環境を提供できるように努める事が、人手不足を解消し離職を防ぐ事に繋がるのではないかと考えます。
