健康経営取り組み事例、コロナ禍ではどうすべきか

ES福利厚生の前田です。
2021年3月に健康経営優良法人2021が決定されました。本日は健康経営優良法人2021に認定された企業、認定されるメリットなどをはじめ、健康経営に対する実際の企業の取り組み事例、またコロナ禍における健康経営に関して説明させていただきます。

健康経営優良法人2021が決定

企業の労働生産性の向上を目指すために、企業が従業員の健康を重要視し、健康の維持・増進に対して戦略的に取り組むのが健康経営です。大企業を中心に2009年頃から取り組まれており、大企業だけでなく中小企業にもその広がりを徐々に見せています。

健康経営優良法人とは

経済産業省の認定基準を満たす、優良な健康経営を実践している法人企業を健康経営優良法人と言い、その中でも特に優れている大企業法人部門をホワイト500、中小規模法人部門をブライト500として、調査結果の上、上位500社を2017年より顕彰しています。上位500社に入らなくても健康経営優良法人として認定されます。
2017年の健康経営優良法人企業は大企業法人部門では235社、中小企業部門では95社だったものの、2021年には大企業法人部門は1801社、中小規模法人部門も7934社と驚くべき広がりを見せています。それだけ多くの企業が将来的な労働生産性の向上、労働力を確保するために従業員の健康を重要視しているのです。

認定企業紹介

健康経営優良法人2021、ホワイト500、ブライト500の認定法人を一部ご紹介します。

ホワイト500

株式会社NTT東日本‐北海道
株式会社ニトリホールディングス
東北電力株式会社
株式会社東邦銀行
水戸ヤクルト販売株式会社
株式会社コジマ
医療法人社団美心会
ポラス株式会社
イオン株式会社
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
株式会社みずほフィナンシャルグループ

ブライト500認定法人

勇建設株式会社
株式会社みちのく計画
株式会社北日本朝日航洋
東光コンピュータ・サービス株式会社
社会保険労務士法人レクシード
ライフ薬品株式会社
一般財団法人 明治安田健康開発財団
株式会社JALUX保険サービス
株式会社タニタ
東洋染工株式会社
豊鉄バス株式会社

認定法人の業種で目立っていた大企業部門では、情報・通信業、小売業、サービス業でした。また、中小企業部門では建設業、製造業が目立っていました。

認定されるメリット

健康経営優良法人として認定される事は、社会的評価や企業のイメージアップ、労働生産性の向上というメリットが挙げられます。

社会的評価ですが、健康経営に取り組んでいる=社員の健康を重要視している、労働環境を重視した働きやすい企業、このような企業イメージに繋がります。ブラック企業が問題視されている昨今、就活生や転職希望者にとって、このような健康経営に取り組む企業は、優良企業として魅力的に映ります。認定されると経済産業省のウェブサイトにも一覧として情報が掲載されるため企業の認知度の向上、求職者からの企業選びの目安にもなり得るのです。結果として人材の確保にも繋がっていきます。

次に労働生産性についてです。企業にとっての原動力は従業員そのものです。その原動力である従業員が体調不良を起こしてしまう事で、業務がスムーズに進まなくなってしまったり、周りの従業員へ負荷がかかってしまったりする事は労働生産性の低下へと繋がってしまい、企業の業績向上も見込めなくなってしまいます。健康経営に取り組み従業員の心身の健康を維持・増進する事が労働生産性の向上へと繋がるのです。また、健康問題からの休職や退職による離職率の改善にも役立つでしょう。

健康経営、認定要件から見る取り組み事例

健康経営優良法人の認定要件を見ながら、企業は従業員に対してどのような施策をすべきなのかを見ていきましょう。また、経営理念の中に健康経営を取り入れ発信する事、組織体制を整えて役員以上の者が運営し、従業員と連携しているかが必須条件です。
企業の制度・施策実行の項目の中から各企業がどのような取り組みを行っているのかを見ていきます。

従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討

健康経営において企業がどのような目標を設定するかという事です。
また、従業員の健康課題の把握として、定期健診受診率(実質100%)・受診勧奨の取り組み・50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が評価項目にあります。例えば、実際に企業が設定した目標は

  • 喫煙率を15%未満にする
  • 健康診断受診率・保健指導受診率・ストレスチェック受検率を100%
  • 残業時間15時間未満
  • 有給取得率80%以上
  • 働き方や健康意識に対する自社アンケートでポジティブな回答を10%増やす

このようなものがありました。
定期健診受診率100%のための取り組みとして受診勧奨のハガキやメール、リーフレットを作成して送付している企業もあります。
健康経営に取り組んでも、成果として目に見えるには時間がかかりますし飛躍的に大きな成果が出るわけでもありません。途中で諦めずに長期的に取り組むことが大事ですから、達成しやすい目標設定かどうかが大事です。

健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント

こちらの項目には、ヘルスリテラシーの向上・ワークライフバランスの推進・職場の活性化・病気の治療と仕事の両立支援があります。
これらの項目を満たすために企業がどのような取り組みを行っているかというと、従業員に対して産業医や健康経営アドバイザー、外部の専門講師による健康促進のためのセミナーの開催を実施しています。コロナ禍の今ですと、オンラインセミナーを取り入れている企業もあります。健康に関わる知識を取り入れ、社内全体で意識して取り組むことがねらいです。
セミナー以外にも、社内報や回覧板、メール等で健康促進に関する内容の情報を従業員に発信している企業もあります。
その他にもノー残業デーを社内で設けたり、有給休暇の取得を促したり、育児や介護のための法定内以上の時短勤務制度を導入しているケースもあります。
また、治療が必要な病気を持った従業員のために相談窓口を設置する、年次有給休暇とは別に治療に関わる休暇を導入する、仕事内容を見直す、などの取り組みを行っています。

従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策

次にこちらの小項目では、保健指導・健康増進・生活習慣病予防対策・感染症予防対策・過重労働対策・メンタルヘルス対策・受動喫煙対策があります。

保健指導に関しては、健康診断で問題があった従業員に対して産業医などから保健指導を実施する、保健指導を受けるために特別休暇を与えたり勤務時間を調整したりする、などの取り組みを行っています。

健康増進・生活習慣病予防対策では、食生活の改善の向けた取り組みのために、社員食堂で健康に配慮した食事の提供、栄養素やカロリーを表示する、オフィスに常備できる栄養バランスの整った惣菜型の食事を提供するESキッチンのようなサービスを食事補助の福利厚生として導入している企業もあります。

運動機会の増進に向けた取り組みでは、従業員が徒歩や自転車で通勤できるような環境の整備、ラジオ体操やストレッチなどスポーツイベントの実施、ジムなどの施設利用料金の企業負担、社内にエアロバイクやランニングマシーンなどを設置したトレーニングルームを完備する、などが挙げられます。

女性の健康保持・増進に向けた取り組みでは、生理休暇の導入や利用しやすいような働きかけ、婦人科健診の費用補助、女性のための健康セミナーなどの開催を行っている企業もあります。女性だけでなく男性も女性側の健康に関する情報について知識を深める等社内全体での取り組みがポイントです。

感染症予防対策の従業員の感染症予防に向けた取り組みにおいては、インフルエンザ等予防接種の費用補助、予防接種のための場所提供、感染予防対策として社内にアルコール消毒の設置が挙げられます。

過重労働対策の長時間労働者への対応に関する取り組みでは、長時間労働者に対して産業医や保健師による面談を行ったり、業務内容の見直しをしたり、有給休暇の取得を促すというような事を行っています。

メンタルヘルス対策のメンタルヘルス不調者への対応に関する取り組みでは、社内に相談窓口を設置し全従業員への周知、不調がある場合の医療関係者による定期的な指導、不調のある従業員が職場復帰できるような時短勤務や業務内容の調整などのサポート制度の導入など行っています。

受動喫煙対策について、受動喫煙対策に関する取り組みは必須項目になります。ある企業では喫煙所を徐々に縮小し最終的には社内全面禁煙、月1回の禁煙デーを設ける、禁煙セミナーの実施、喫煙者が禁煙に成功した際の手当支給、このような取り組みをしています。

以上、企業の様々な取り組み事例を紹介してきましたが、自社の従業員の健康状態を把握して経営者、企業全体で戦略的に健康経営に取り組んでいるかどうかがポイントです。

コロナ禍における健康経営

健康経営優良法人2021認定については、昨年発生したコロナウィルスによる影響で実施できなかった取り組みに対して配慮されています。コロナによる影響で従業員が健診を受けられなかった、セミナーやスポーツイベントが開催できなかったケースもありますが、実施予定だった場合には項目適合とされています。
ワクチン接種が始まったもののコロナウィルスが収束しない現状を踏まえると、次年度もこのような措置が取られるのではないでしょうか。

リモートワークによる健康への不安

2020年春よりコロナウィルスの影響で拡大したリモートワークが従業員の健康へ与える影響も注目されています。オフィスとは違った環境でのリモートワークによる身体的、精神的なストレスです。
例えば小さな子供のいる家庭では、仕事が中断されてしまったり会議に集中できなかったりなどスムーズに仕事に取り組めないケースもあります。長時間のパソコン作業による眼精疲労、腕や手の痛み、肩凝りが出てしまう事もあります。コミュニケーション不足による影響は仕事だけではなくコロナ鬱などにも繋がってきます。家にこもりきりになってしまうため、体を動かす機会が減りコロナ太りを懸念している従業員もいるようです。また、リモートワークだからこそ早朝から深夜までの長時間労働になってしまっているケースもあります。

コロナ禍における企業の健康経営への取り組み

こうしたコロナ禍で従業員の健康に配慮した取り組みを行っている企業もあり、リモートワークの際には以下のようなものを実施しています。

  • 60分ごとに身体を動かしたり休憩を取ったりするような啓発
  • 運動不足の解消のために社内ネットで体操の動画を配信
  • 肩凝りや腰痛予防のための情報を配信
  • 生活習慣病を予防するための健康に配慮した食事レシピの情報を配信
  • 電話やビデオ通話、チャットでやり取りできる健康相談窓口の設置

また、出社しなくてはならない従業員にはランチ代の補助、社員食堂は混雑のないよう席数を少なくするような施策を実施している企業もあります。

コロナ禍でもこうした社内全体での健康に対する柔軟な取り組みが、次年度の健康経営優良法人に認定される要素のひとつになっていくのではないでしょうか。

健康経営は優良法人として認定される事がゴールではありません。従業員は企業の原動力だと考え、現在だけではなく将来的な企業の発展や労働力の確保のために従業員の健康を守っていくことがねらいです。健康経営への取り組みは、結果がすぐに目に見えるものではないため、中長期的に実施していかなければならないのです。従業員の休職や離職が多い、従業員の平均年齢が高い、労働力を確保したい、そのような企業は特に健康経営に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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