中小企業でも手軽に導入できる社食サービス

従業員にとって企業の福利厚生の充実は、仕事に対するモチベーションの向上だったり、働きやすさを実感する事で定着率に繋がったりするものです。それ故に多くの企業が、従業員満足度や企業イメージ向上のため魅力ある福利厚生を導入しています。
中小企業の福利厚生は大手企業とは違い導入が困難なものもありますが、今回の記事では中小企業でも導入がしやすく従業員から人気のあるものを紹介します。

社員食堂の導入率

従業員に人気の福利厚生“社食”

従業員から人気のある福利厚生といえば食の福利厚生で、社員食堂はその代表格ともいえます。社食のメリットとして、

  • 1食300円~500円と安価で昼食代の節約になる
  • 出来たてのあたたかい食事が提供される
  • 健康に配慮されている
  • 従業員同士のコミュニケーション促進
  • 外出せずに社内で昼食を食べられる
  • 人気ある福利厚生のため企業PRにも繋がる

このようなものが挙げられます。では、実際にどのくらいの企業が社員食堂を導入しているのか見ていきましょう。

社食を導入している企業、運営方法は?

社食導入企業の特徴は?

厚生労働省による平成14年就労条件総合調査の概況によると、福利厚生として社食を導入している企業の割合は全体の27.7%でした。さらにその内訳は
企業規模   社員食堂
1,000人以上 60.3%
300~900人  43.2%
100~299人  33.6%
30~99人  22.9%
このような結果となっています。企業規模が大きくなるほど社員食堂の導入率が高い事がわかりました。
また、社員食堂の運営方法としては、
すべて自社で行っている 43.5%
一部または全て委託または外注 56.3%
(福利厚生制度の種類、制度がある企業の運営方法別企業数割合)
このような結果でした。半数以上は一部または全てを社食業者に導入・外部委託している状況ですが、その場合自社運営よりもメニューの構築、材料の仕入れや人件費のコストカットなどのノウハウもある事からスムーズな運営が可能というメリットもあります。
ちなみに、ゼロから社員食堂を導入するとなると、調理スペースの確保や工事でかかる莫大な初期コスト、そして調理員の人件費、材料費、光熱費などの運営コストがかかってしまうのが難点となります。ただし、出来上がった食事をビュッフェ形式で提供するタイプの社食サービス企業もあるので低コストで導入できるケースもあります。

企業、従業員双方にとって節税になる昼食補助

食事補助の実質的な企業負担は?

社食の導入率を見てきましたが、ここでは食事補助に対して企業はどのくらいの補助をしているのかを説明します。
食事代補助の上限は日本の法律では3,500円までと定められています。福利厚生費として計上する場合には、
・従業員が食事の半額以上を負担している
・企業負担額が税抜3,500円/月以下
この2つの条件を満たしていれば非課税となり、企業にしてみれば節税に、従業員にとっては課税対象ではないため、所得税負担がないのはメリットとなります。

実例:社食を福利厚生費として計上し非課税にする

食事補助を福利厚生費として計上するために

以下は非課税になる場合の実例です。
・月の昼食代 8,000円(従業員負担 4,500円 企業負担 3,500円)
このような場合です。
さらに以下のような場合では
・月の昼食代 8,000円(従業員負担 4,000円 企業負担 4,000円)
※企業負担額が税抜3,500円/月以下を満たしていない
・月の昼食代 5,000円(従業員負担 2,000円 企業負担 3,000円)
※従業員が食事の半額以上を負担していない
どちらも非課税にはならず、それぞれ企業負担の4,000円、3,000円に対して課税されてしまいます。

なぜ?令和3年と平成28年で企業の食事に関する費用が変化

食事に関する費用が変化している

規模が大きな企業の社食導入率が高い事がわかりました。しかし、ここで気になるのが、福利厚生の食事に関する費用が従業員数の多い企業よりも、小規模な企業の方が高くなっている点です。
厚生労働省による平成28年度の常用労働者1人1か月平均法定外福利費を見てみると、
企業規模   食事に関する費用
1,000人以上 614円
300~900人  659円
100~299人  730円
30~99人  475円
このような結果になりました。
そして、令和3年の同調査によると
企業規模   食事に関する費用
1,000人以上 174円
300~900人  427円
100~299人  690円
30~99人  849円
1,000人以上の企業では食事に関する費用が440円もダウンしており、平成28年の1/3以下と驚くべき結果になっています。 従業員数30~99人の企業では374円もアップしており、平成28年の2倍近くも上昇しています。

コロナが影響?中小企業では食事に関する費用が上昇

中小企業で上昇する食事に関する費用

この理由として考えられるのが、令和2年初旬から全世界にまん延したコロナウイルスの影響です。出社すれば人が密になるという理由から、企業規模が大きい企業では、従業員をリモートワークに切り替えたり大きな工場では稼働停止したりする事態となりました。社食を導入している企業であれば、従業員が出社していなければ開ける意味もありませんし、感染リスクの観点から営業ができないという事もあったでしょう。規模が大きい企業は、こうした事が原因で食事に関する費用がダウンしたのではないかと考えられます。

一方、従業員数30~99人の企業で食事に関する費用がアップしている点について見ていきます。規模の大きな企業ではリモートワークに切り替えられました。その反面、free株式会社の「テレワークに関するアンケート調査第二弾(2020年10月)」によると、中小企業の6割がリモートワークを許可していないという結果になりました。リモートワーク環境が整備されていない、取引先の来社対応がある、紙媒体で送られてくる書類の確認作業、そもそもリモートワークができる業種ではない、などが主な理由です。
従業員数30~99人の規模では社食を導入している企業は少ないでしょうし、もしも社食を導入していたとしても事業規模の大きな企業同様に感染リスクから運営自体が難しかったのではないでしょうか。しかし、法定外福利厚生費で食に関する費用が平成28年の2倍近くに上がっているのは事実です。その理由として、社食にとって代わるサービスやシステムが台頭してきたからではないか、と考えられます。 中小企業では、リモートワークに切り替えられない分、従業員の満足度が上がるように食事補助・昼食補助の福利厚生を充実させる動きがあるのではないかと考えられます。

社員食堂に代わって台頭してきたオフィス社食サービス

社員食堂より低コストで導入できる食事補助サービス

それでは、中小企業でも導入できる社員食堂の代わりになるようなオフィス社食サービスとは具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。

1つ目はお弁当型で、その日に食べたいものを朝選んで業者に連絡しお昼にオフィスに配達してくれたり、弁当業者が決まった時間にオフィスで販売に来たりするものです。

2つ目は設置型社食と呼ばれるもので、レトルト惣菜になっているタイプ・サラダやフルーツなどを取り扱っているタイプ・冷凍のパンタイプ・スムージー・自動販売機型など種類も多岐に渡ります。基本的には冷蔵、冷凍となっていてプランごとに定期的に配送されてくる仕組みです。

例えば、ESキッチンが提供している設置型の100円社食。専用冷蔵庫に入っているレトルトタイプの1つ100円の惣菜の中から、従業員は好きなものを選び電子レンジで温めて食べるシステムです。
管理栄養士と共同開発した健康にも配慮されているため、健康経営に取り組む企業にも注目されています。惣菜は月替わりで20種類以上も提供されるため、利用する従業員を飽きさせません。お弁当型のオフィス社食サービスと違って、より自身が食べたい惣菜を選べるのが特徴でもあります。

どちらのサービスも社外に出る事なく昼食を調達できるため効率良くランチタイムを過ごせますし、外食するよりも値段が手頃であることなどのメリットがあります。コロナウイルスの流行以後は、外食でのウイルス感染リスクの軽減にも繋がるというメリットも出てきました。

今回の記事では、社食の導入率、非課税になる場合の昼食補助、コロナウイルス流行後の福利厚生費の変化、社員食堂にとってかわるサービスについてみてきました。
食事補助は社員が喜ぶ人気・オススメの福利厚生の1つであるものの、社員食堂として導入、運営するのは導入費用、ランニングコスト面で非常にネックになってしまいます。そこで、導入コストが安価で手間もかからないオフィス社食サービスの導入は、企業にとって節税にもなり、従業員にとっては満足度の高い福利厚生ではないでしょうか。

中小企業では人手不足や離職の問題を抱え、従業員1人1人に対する仕事量もオーバーワーク気味になっているケースも多いです。また、出勤しなければいけない職種でリモートワークに適さないという事も多いかと思います。
企業規模の大きな企業と全く同じ働き方や福利厚生を導入するのは難しいですが、企業規模が小さくても導入できる福利厚生で従業員に還元する、従業員を大切にするそのような姿勢が、離職率低下に繋がり働き手を確保し、長い目で見た時に企業が生き残っていく術の1つになるでしょう。

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